ラオスのSNSを揺るがす「道徳論争」の正体
「受け入れられない!」「吐き気がする!」
穏やかな微笑みの国ラオスのTikTokで、ある女性が涙ながらに訴える動画が話題です。彼女を激怒させたのは、SNSで散見される「ある不適切な関係」の自慢投稿でした。
ラオス人が最も恐れる伝統的タブーとは?
🎥 今回の参考動画はこちら ▼
サバイディー!ラオス・ナビゲーターのラオスキです。🇱🇦
普段はラオスの美味しいご飯や絶景スポットを紹介していますが、今回は少しディープな「ラオスの社会問題」について切り込んでみたいと思います。
皆さんは、ラオス人に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
「穏やか」「怒らない」「恥ずかしがり屋」……そんなイメージが強いかもしれません。
しかし、上記の動画をご覧ください。一人の女性が、カメラに向かって非常に強い口調で、時に声を震わせながら何かを訴えています。
彼女がこれほどまでに激怒している理由、それは「親族間の不倫」です。
動画で語られている衝撃の内容
この動画の投稿者は、ラオスのTikTokユーザー(@mitlisalatxavong5)です。
彼女が問題視しているのは、最近SNS上で見かけるようになった「義理のきょうだい(妻の妹や夫の弟など)と恋愛関係になり、それを悪びれもなく発信する人々」の存在です。
動画内で語られているラオス語の要点を、私の意訳を交えてご紹介します。
- 「あなたたち、正気なの? 心臓が止まるかと思ったわ。」
- 「子供や孫たちがこの動画を見て、これを『普通のこと』だと思ってしまったらどうするの?」
- 「たとえ当人同士が良くても、社会はそれを受け入れない。それは“Su (ชู้)”(不倫・姦通)であり、とても不潔なこと。」
- 「私から言わせれば、それは吐き気がするほど気持ち悪い(Siaw)。」
彼女は、たとえ当人たちが「私たちは幸せだ」「新しい家庭を築いた」と開き直っても、それはラオス社会では決して称賛されることではないと断じています。
「静かにしていればいいものを、なぜわざわざSNSで世界中に恥を晒すのか?」という、インフルエンサーならではの視点での批判も込められていますね。
ラオスの絶対的規範「ヒート・コーン」とは?
この動画を理解する上で欠かせないのが、ラオスの伝統的な道徳規範「ヒート・コーン(ฮີດຄອງ)」という言葉です。
正式には「ヒート・シップ・ソーン・コーン・シップ・シー(12の伝統と14の戒律)」と呼ばれ、仏教の教えと精霊信仰が融合した、ラオス人の生活の根幹をなす不文律です。
動画内でも彼女は「Phit Heet Phit Khong(ヒート・コーンに背いている)」という表現を使って批判しています。
ラオスでは、年長者を敬うことや、家族間の秩序を守ることが何よりも重視されます。
特に「義理の家族」との性的な関係は、単なる浮気以上に、家系の霊(ピー)を怒らせ、コミュニティ全体に災いをもたらす「タブー中のタブー」と見なされることが多いのです。
日本でも道徳的に批判される行為ですが、ラオスにおける忌避感は、宗教的・精神的な恐怖感を伴うもっと根深いものです。
実は厳しい!ラオスの「不倫」の代償
「でも、個人の自由でしょ?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、ラオスにおいて不倫は、単なる民事トラブルでは済まされない場合があります。
ラオスの刑法(Penal Code)では、姦通(Adultery)は犯罪として規定されています。
※2025年時点の法的解釈の目安として、既婚者が配偶者以外と性的関係を持った場合、以下のような罰則が科される可能性があります。
- 懲役刑: 数ヶ月〜1年程度
- 罰金: 数百万〜1千万キープ(1千万LAK ≈ 約70,000円)
「たった7万円?」と思うなかれ。ラオスの公務員の初任給が200万キープ(約14,000円)程度であることを考えると、これは月収の数倍に相当する高額な罰金です。💸
警察が「痴話喧嘩」として処理せず、実際に逮捕・勾留されるケースも珍しくありません。
この動画の女性が「法律違反でもある」と指摘しているのは、決して大袈裟な話ではないのです。
まとめ:ラオスの「恥」の文化を知ろう
動画の最後で、彼女は少し商魂たくましく(笑)、自身の使っている美容液(セラム)を紹介していますが、前半の主張は多くのラオス人の共感を呼んでいます。
ラオスは「恥(Loss of Face)」を極端に嫌う文化です。
SNSという新しいツールと、古くからの伝統的価値観が衝突する中で、今回の動画のような議論が巻き起こっているのは、急速に発展するラオスの今を象徴していると言えるでしょう。
私たち外国人も、ラオスの人々が大切にしている「一線」を理解し、リスペクトを持って接することが大切ですね。🙏
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