「サイ・シン」に込められた深い願い
太陽の光が降り注ぐ穏やかな国、ラオス。手首に結ばれる一本の白い紐には、人々の温かい願いと深い歴史が込められています。この神秘的な紐に隠された意味と、心温まる儀式の魅力に迫ります。
サバイディー！ラオスキです🇱🇦。
太陽の光が降り注ぐ穏やかな国、ラオスへようこそ。
ここでは、古くから伝わる美しい伝統が人々の暮らしに深く根付いています。
中でも、私たちが旅人の皆さんの心に強くおすすめしたいのが、手首に結ばれる白い綿の紐「サイ・シン」です。
この一本の紐には、ラオス文化の精神性、人々の温かい願い、そして深い歴史が込められています。
今回は、この神秘的な白い紐「サイ・シン」に隠された意味と、それを体験できるバチーセレモニーの魅力に迫ります。
ラオスの旅で、あなたもきっと忘れられない心の繋がりを感じられることでしょう🙏
幸運を呼ぶ神秘の紐：サイ・シンに込められた深い願い
ラオスの寺院を訪れると、人々が手首に白い綿の紐を結んでいる姿を目にすることがあります。
この紐は単なる装飾品ではなく、ラオスの伝統的な祝福の儀式であるバチーセレモニーにおいて用いられる、非常に重要な意味を持つものなのです。
この儀式は「スー・クワン」、つまり「魂を呼び戻す」とも呼ばれ、友情や平和、繁栄を願う心が込められています🌿
魂を呼び戻す「スー・クワン」の儀式とは？
ラオスの神話によると、人間の体は32の魂（クワン）によって構成されており、それぞれの臓器や部位に宿ると考えられています。
これらのクワンは時に体から離れてさまよい出ることがあり、それが魂のバランスを崩し、病気や不運を引き起こす原因となると信じられているのです。
バチーセレモニーで白い紐を結ぶ行為は、体から離れてしまったクワンを呼び戻し、再び体に結びつけることで、心身の調和を回復させ、幸運と健康をもたらすことを象徴しています。
心温まる、素敵な信仰ですね🐘
純粋な白に秘められた、人々の温かい想い
白い紐の色は、純粋さと清らかさを意味します。
この純粋な白い綿の紐に、家族や友人の幸福を願う心が込められ、お互いの手首に結び合うことで、絆を強化し、ポジティブなエネルギーを分ち合うのです。
この伝統は仏教が伝わる以前から存在しており、ラオスの人々にとって生活のあらゆる側面に深く根ざした精神的な支えとなっています。
人生の節目に寄り添う祝福のセレモニー
バチーセレモニーは、人生における様々な大切な瞬間に執り行われます。
その目的は多岐にわたり、喜びの瞬間から悲しみを乗り越える時まで、人々の心に寄り添う温かい儀式です。
- 結婚式：夫婦の幸福な結婚を願い、切れた魂の絆を再び結びつけるという古い伝説に基づいています。
- 出産：新生児の歓迎と、出産で体から離れてしまった母親のクワンを呼び戻すために行われます。
- 旅立ちと帰還：新しい旅に出る人や故郷へ戻る人の安全と健康を願います。
- 健康と成功：病気の回復を願う時や、何かを成し遂げた成功を祝う時にも祝福が与えられます。
- 祭り：年に一度の祭典では、多くのバチーセレモニーが目撃されます。
- 死別：亡くなった後にさまよえる魂を呼び戻し、遺族の調和と心の平和を強化する目的でも行われます。
これらの場面以外にも、ゲストの歓迎、ラオス正月、家屋の新築祝いなど、バチーセレモニーはラオスの人々の生活の節目に深く関わっています。
心温まる神秘体験：バチーセレモニーの流れ
ラオスを訪れる旅行者の中には、現地の友人やホストからバチーセレモニーに招かれる幸運に恵まれる人もいます。
この伝統的な儀式は、ラオスの人々の温かさと精神性を肌で感じられる貴重な体験となるでしょう。
ボーペンニャン（問題ないよ）の精神で、ぜひ体験してみてくださいね🙏
儀式の準備：心を込めて作られる「パー・クワン」
セレモニーが始まる前に、コミュニティの年長の女性たちが集まり、祭壇の中心となる「パー・クワン」を丁寧に作り上げます。
これは、バナナの葉と花（特にマリーゴールド）で装飾された手作りのピラミッド状の供物です。
完成した「パー・クワン」は、部屋の中央に置かれた白い布の上に安置され、儀式の神聖な雰囲気を醸し出します。
とても美しい飾り付けに心惹かれますよ🌿
「モー・ポーン」が導く神聖な時間
儀式を執り行うのは、コミュニティで尊敬され、知識豊富な人物である「モー・ポーン」です。
セレモニーは「モー・ポーンの招待」から始まります。
モー・ポーンは片手にラオスワインなどのお供え物を持ち、祝福を受ける人の右手に最初の白い紐を結びながら、静かに願い事をささやきます。
その後、モー・ポーンは「パー・クワン」の頂上にあるろうそくに火を灯し、祝福を受ける人々に対し、手のひらを下にして「パー・クワン」の縁に手を置くよう指示します。
そして参加者の手を白い紐で優しく拭い、「Hai Kuard Nnee, Dee Kuard Kao（悪いものは掃き出され、良いものは拭き入れられる）」という、心安らぐ言葉を唱えてくれます。
次に、モー・ポーンと祝福を受ける人々は、「パー・クワン」から伸びる白い糸を両手で挟んで持ち、彼が聖なるパーリ語やラオスの詩を詠唱する間、心静かに祈りを捧げます。
この時間は皆が静寂を保ち、精神を集中させる大切なひとときです。
詠唱の途中で、参加者全員が「Ma Der Khuan Euy（精霊よ、どうぞいらっしゃい）」と唱え、同時に米を空中に投げます。
この米は、呼び戻された精霊と幸運を象徴しているのですよ。
祝福の紐が結ばれる感動の瞬間
モー・ポーンの詠唱が終わると、彼は最初に主要な祝福を受ける人の手首に白い祝福の紐を結びます。
その後、他の参加者も続き、家族やゲストの手首に次々と白い紐を結びながら、一人ひとりに温かい願いをささやきます。
この時、紙幣を白い紐に巻き付けて結ぶ人や、ラオスウィスキー、果物などの供物を手に置いた状態で紐を結ぶ人もいるのですよ。
儀式全体は通常30分から1時間ほどで終わります。
旅の思い出を大切に：白い紐との素敵な過ごし方
ラオスの白い紐は、一度結ばれるとその人の心に深く刻まれる思い出となります。
儀式に参加する際には、いくつかの文化的な配慮をすることで、より豊かな体験となるでしょう🌿
儀式後の大切な約束：３日間と「切らない」想い
バチーセレモニーで結ばれた白い紐は、少なくとも3日間は手首に巻いたままにすることが伝統とされています。
この期間、紐は祝福のエネルギーと保護を体に留めると信じられているからです。
3日を過ぎれば、紐を解いても構いませんし、自然に落ちるに任せても良いとされています。
しかし、最も重要なのは、決してハサミなどで切ってはいけないということです。
紐を切る行為は、儀式で結ばれた誓約を断ち切ることを意味すると考えられているため、外す際は丁寧に結び目を解くようにしましょう。
ちなみに「パー・クワン」も、白い紐と同様に少なくとも3日間は乾燥するまで保管され、その後廃棄されます。
これも祝福のエネルギーを大切にするための習慣なのです。
旅人がバチーセレモニーに参加する際の心得
もしラオス滞在中にバチーセレモニーに招待される機会があれば、それはこの国の文化に深く触れるまたとないチャンスです。
ぜひ、ラオスとの心の繋がりを体験してみてくださいね🙏
- 服装に敬意を払いましょう。伝統的な儀式ですので、肩や脚を覆うなど、敬意を表す服装が適切です。女性は伝統的な巻きスカート「シン」を着用するのも素敵ですよ。
- 静かに儀式を見守りましょう。儀式中は静かにし、モー・ポーンの指示に従います。スマートフォンなどの使用は控え、場の雰囲気を大切にすることが重要です。
- 感謝の気持ちを伝えましょう。招待してくれたホストへ、感謝の印として少額の金銭的な贈り物を持参すると喜ばれます。
これらのヒントを心に留めることで、あなたはラオスの人々と心の繋がりを築き、忘れられない体験を得られることでしょう。
ラオスのゆったりとした時間に身を任せてみませんか？
ラオスで紡ぐ、あなただけの特別な心の物語
ラオスで手首に結ばれる白い紐「サイ・シン」は、単なる布切れ以上のものです。
それは、人々の魂の平穏と幸運を願う深い信仰の証であり、互いを思いやる温かい心の象徴です。
この儀式は、ラオスの豊かな文化と人々の親密な繋がりを垣間見せてくれます。
次にラオスを訪れる際には、ぜひこの美しいバチーセレモニーに触れ、あなた自身の特別な物語を紡いでみませんか？
きっと、手首に結ばれた白い紐が、あなたの旅の安全と幸福、そしてラオスとの深い絆を静かに見守ってくれることでしょう🇱🇦。
またお会いしましょう、サバイディー！
